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仇話§芸術祭十月大歌舞伎第一部~松緑~ [歌舞伎]

先月下旬、歌舞伎座の特撰講談会で神田松鯉が務めた『荒川十太夫』の舞台を観るべく、日曜日の第一部に行ってきた。

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一本目は猿之助と幸四郎の、三代猿之助四十八撰の内『鬼揃紅葉狩』で、舞台下手に常磐津、上手に竹本、正面奥に長唄と豪華なお囃子連が並ぶ中を、いかにも紅葉の季節らしい、華やかかつ変異な一幕を楽しんだ。

そしてお目当ての『荒川十太夫』である。赤穂義士堀部安兵衛切腹の介錯を務めた十太夫は三両五人扶持の下級徒士侍。安兵衛に身分を尋ねられ、咄嗟に「物頭役でござる」と身分を偽ってしまい、それを咎められ……そんな十太夫を松平隠岐守が直々に事情を聞いてというストーリーである。

愚直で不器用と見える十太夫を松緑が丁寧に演じてくれた。身分制度の中、介錯する人間が下級武士であると知ったら、安兵衛は名誉を傷つけられただろうと思わずついた嘘だが、隠岐守はそれを忠義として、十太夫を物頭役に取り立てたのだ。

理不尽な時代にあって、嘘と忠義の狭間でひたむきに生きる荒川十太夫が丁寧に描かれた。

坂東亀蔵は口跡爽やかな松平隠岐守を務め、吉之丞が高輪泉岳寺で十太夫を見咎めた杉田五左衛門を、猿之助が堀部安兵衛を、猿弥が泉岳寺和尚長恩といった面々。

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