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叩話§歌舞伎座特撰講談会~松鯉と伯山~ [伝統芸能]

十月大歌舞伎第一部に神田松鯉口演で赤穂義士外伝『荒川十太夫』という芝居が出る。それに先立って、歌舞伎座特撰講談会と銘打たれた会が歌舞伎座で催された。折しも神田松鯉傘寿の誕生日だそうである。

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元より講談を聞いたことはほとんどないが、松鯉に加えて神田伯山も出演するというところに喰いついた。こんなことでもなければ伯山の高座に接することはできそうにない。

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さて当日。開口一番は女性講談師神田鯉花の『柳沢昇進録・将軍饗応』から始まった。前座から二つ目に上がったばかり……舞台度胸はともかく、さすがにあれもこれもまだまだとしか言えず。

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そうしてお目当ての伯山が花道から本舞台へと登場。まさに“講談の今”を象徴化するような存在と感じた。盛りだくさんなマクラは、あたかも落語を聞いているようで、アップル・ウォッチに装備されているSiriが熱演している伯山の叫び声に反応して「どうされましたか~!?」と絶叫したという……講談師のお話です。そしてマクラたけなわで一階席の盛大なクシャミでまた盛り上がるのもまた伯山かな。

さて本編赤穂義士銘々伝『安兵衛駆け付け~安兵衛婿入り』が、一時間超の熱演。エネルギーがほとばしり出るように一気呵成に畳みかけていく様は、まさに旬の芸人を見る思いである。口跡も崩れていくことはないし、張り扇使いも巧みと感じた。好悪は分かれる講談師だろうが、そのサービス精神は時に十八代目勘三郎を彷彿とさせた。

松緑を加えての鼎談は、さほど印象に残らないまま、休憩後に松鯉の一席。赤穂義士外伝『荒川十太夫』は、泰然自若として悠揚迫らず。伝統芸能としてあるべき講談の姿を見る思いがしたが、刺激には薄く、講談の姿は守れても、次の地平を目指せるのは伯山のような才能であると痛感させられたのである。

終演は17時……予定時間を30分オーバーし、夜の部の開演までは一時間……そうしてさらに、夜の部は終演予定20時半が21時10分となったようだ。

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