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過話§梅子黄~七十二候~芒種 [七十二候]

芒種の末候“梅子黄(うめのみきばむ)”である。

梅干しは“苦手”な食べ物の一つである。子どもの頃の刷り込みが、今だに抜けてくれずなのだ。

最近になって、ほんの少しくらいは“舐め”られるようにはなったが、一個丸のままなどとんでもない。おにぎりの中にほんの欠片程度がせいぜいで、それすらも、舌先に触れただけで酸っぱさに首をすくめることしばし。だがその酸っぱさが腐敗からおにぎりを防いでると思えば、何ともありがたいと思うのだ。

もう数十年も昔のこと、この時期になると祖母が梅干しを作っていたことを思い出す。

熟した梅をひとしきり塩漬けし、その後に紫蘇と合わせて何日か天日干しにするのだ。その酸っぱさに逃げ回っていたから、祖母の梅干しを口にしたことは一度もない

惜しいことをしたと思いつつ、そんな大昔の風景を思い出すのである。

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