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懐話§昭和三十年代~ヴァキュームカー~ [昭和]

[承前]

地方の中規模都市の町中に住んでいたが、昭和三十年代まで下水道は完備していなかった。家庭の汚水は、家の裏の小さいどぶ川から、町内のどぶ川に注ぎ、一級河川へと流れていったのだ。

その当時、ほとんどすべての家のトイレには“ブツ”が溜められていて、月に一度くらいのローテーションでバキュームカーがやって吸い上げていくのだった。ただし、ヴァキュームカーが普及しても、我が家のあたりは東西を走る本通りから30mほども離れていたので、ホースが届かず、かなり後までブツを柄杓で汲んで木樽に入れて運んでいた……考えるまでもなく、衛生面では相当に遅れていたということか。

そんな環境とお別れしたのは昭和四十年代半ば、我が家でも下水道工事が行われて、同時にトイレの水洗化と相成ったのである。

実家のあった町は、郊外に向かって下水道が普及していって、徐々にではあるがヴァキュームカーの姿を見かけなくなっていった。

その後、上京して大学に入って2年生の時に住んだ板橋区の奥にあった下宿のトイレがぽっとんトイレで、大都市東京といえども少し外れれば、こんなものだと思ったのだ。
                               [続く]

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