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過話§蚯蚓出~七十二候~立夏 [七十二候]

立夏の次候“蚯蚓出(みみずいずる)”である。

順調に夏への階段を上がっているが、春を待ち望むような感覚を夏に対して持ち合わせているわけではなさそうだ。

待つのは穏やかな季節であるのは言うまでもなく、夏や冬など厳しい季節を待望するようなことは考えられない。

できれば、一年中が今現在の季節でいてくれればと願わないでもないが、そんな変化のない時間など、人間が呆けてしまうに決まっているではないか。

季節の変化に刺激を受け、穏やかな季節と厳しい季節が入れ替わりにやってくるのに対応することで、人は緊張を保つことができると思うのである。

緊張と弛緩……伸びきった輪ゴムはあっという間に劣化するが、緩めてやることで、長持ちするというのは、人間も同様ではなかろうか。

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