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犯話§六月大歌舞伎第二部~桜姫東文章~ [歌舞伎]

雨模様でぐずついた日曜日、歌舞伎座まで六月大歌舞伎第二部『桜姫東文章-下の巻-』を観てきた。

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15分の休憩を挟んだ2時間半の舞台……いやもう“鶴屋南北恐るべし”である。上の巻で少しだけ感じたもどかしい部分は完全に払拭されたのである。

口上役が手短に上の巻を語って“岩淵庵室”の場へ。舞台はこれ以上ないというほどのうらぶれた様子の中、歌六の残月と吉弥の長浦が追い出されてからの仁左衛門の清玄・釣鐘権助二役と玉三郎の桜姫が織りなす、息を呑み続けるしかない、おどろおどろしく退廃的にして凄惨な舞台は、淀川長治風に語るなら「怖い怖い怖い、何とも怖ろしい。はい、本当に怖いですね」とでも言うのではなかろうか。

孝玉による舞台から36年。もちろんその時の舞台を観ているわけではないがとりわけ下の巻において、仁左玉の真価が発揮されたのでは思うのだ。

さすがにあちこち刈り込んで省略した部分も多かったようで、特に桜姫の産んだ赤子が、葛飾のお十(孝太郎)に押し付けられたと思ったら、後半の権助住居の場になると、赤子が長屋の寄合衆に連れてこられたりと、その間の経緯が抜け落ちてしまっているので、もう少し説明が必要ではなかったかと。

そして大詰は、仁左衛門三役目となる大友常陸之助頼国も登場して「これ切り」で幕……南北が描く暗闇の世界から、あまりにもあっけなく陽の光の世界に戻ったような気がした。

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