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犯話§四月大歌舞伎第三部~桜姫東文章~ [歌舞伎]

最初に『桜姫東文章』を観たのは2005年のコクーン歌舞伎だった。串田和美の演出ということで、当然ながら本舞台とはずいぶん違っていたはずだが、頭の中から芝居の中身がすっかり抜け落ちていたことに愕然とした。やはり同じ作品は二度、三度と観なくてはならない。

というわけで歌舞伎座での本舞台。今月は上の巻で、下の巻は6月に。桜姫と白菊丸は坂東玉三郎、清玄と釣鐘権助は片岡仁左衛門……1985年の歌舞伎座で、仁左衛門がまだ孝夫だった時以来、36年ぶりの共演である。

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上のポスターは、そんな1985年に大倉舜二が撮影したものを再び使うという気合のほど。

さて、36年前は41歳、35歳だった二人も七十代となって、おそらくは、匂い立つような若い色気から、しっとりと落ち着いた色気へと変貌していたであろうことは間違いない……まあ、36年前の舞台を観ることができたとしてもおそらくそこまでは感じ取れるはずなどなかった。

過去の舞台を今現在の自分の視点で観ることなどは不可能なことで、だがそれでも、36年前の舞台がどのようなものだったか観てみたかった。この日の仁左衛門と玉三郎は、十分に熟成が行き届き、重心も低めの安定感を感じるものだったが、若いがゆえの未熟や青々しさの中にある、鶴屋南北の危ういエロチシズムとは別物だったと感じた。

歌六、吉弥、鴈次郎と脇の安定感も手伝って、舞台は充実していたが、まだ自分の中で南北の世界を堪能したとは言えなかった。6月の下の巻に期待したい。

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