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鍵話§ピアノ―マイカテゴリー―[下] [ピアノ]

[承前]

そんな程度のピアノ音楽鑑賞の来し方だが、好んで聴くピアノ曲をいくつか挙げて、ピアノのマイカテゴリーを閉じたい。

まずはバッハから。基本の“き”の字のような2声のインヴェンションを聴くのは楽しい……もしピアノを習っていたら恨みがましい思いで聴きそうな気はするが。そしてゴールドベルク変奏曲だが、鉄板のグレン・グールドの新盤をもっぱら。

もちろんモーツァルトも気分が軽やかになってくれるので、ソナタ全集を脈絡なく聴いている。

ベートーヴェンは28番のソナタが好きで、それから30~32番の最後のソナタ3曲を、いつも不思議な思いで聴いている。29番のハンマークラヴィーアは巨大過ぎて全容を掴みきれず持て余したままが長い。

そしてシューベルト。よく聴くのは13番と19番から21番の3曲のソナタで、シューベルトについては、ここ10年ほどでようやく耳に入るようになった。間に合ってよかったとはしみじみな本音である。

ショパンを忘れてはいけない。一番によく聴くのは24の前奏曲で、それに続いて夜想曲集や練習曲集だが、ベートーヴェンやシューベルトよりはるかに気楽に聴けるようだ。

最後の最後はドビュッシー。アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリが弾く映像Ⅰ・Ⅱと子供の領分の録音は愛聴盤で、前奏曲集は1番ばかり聴いている。そしていくつかの小品などなど。

ああ……残念ながらリストの音楽に親しむことはなかった。どうしても耳に入ってくれないまま、この歳まで来てしまったのだった。
                                [了]

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