鍵話§ピアノ―マイカテゴリー―[中] [ピアノ]
[承前]
長いこと、ただ漠然と聴いていたピアノだが、それまでの自分の不徳を一蹴するようなことがあった。
1992年10月、ウィーンのムジークフェラインザールで聴いたアルフレート・ブレンデルのベートーヴェン・ピアノソナタ・チクルスの第一回がそれである。作品番号31の1-3(16番~18番)と作品番号101(28番)と、聴いたことのない曲ばかり並べられていたが、これが“眼から鱗”の演奏で、ブレンデルの音楽性のゆえかどうか、見事に納得させられたのだ。
以来、ブレンデルが自分自身にとってのピアノ音楽の規範になったのだ。たぶん一番に聴いた回数の多いピアニストではないだろうか。おそらく7回くらいは聴いていて、ブレンデルなかりせば、我がクラシックの中の、ピアノ体験は間違いなく寂しいものになっていたことだろう。まさに恩人である。
ブレンデル以外に複数回聴いたピアニストを挙げておく……マウリツィオ・ポリーニ、内田光子、アンドラーシュ・シフといった面々だが、個人的にはブレンデルから大きな恩を受けたと思っているのだ。
[続く]
《クラシックのトピックス一覧》
長いこと、ただ漠然と聴いていたピアノだが、それまでの自分の不徳を一蹴するようなことがあった。
1992年10月、ウィーンのムジークフェラインザールで聴いたアルフレート・ブレンデルのベートーヴェン・ピアノソナタ・チクルスの第一回がそれである。作品番号31の1-3(16番~18番)と作品番号101(28番)と、聴いたことのない曲ばかり並べられていたが、これが“眼から鱗”の演奏で、ブレンデルの音楽性のゆえかどうか、見事に納得させられたのだ。
以来、ブレンデルが自分自身にとってのピアノ音楽の規範になったのだ。たぶん一番に聴いた回数の多いピアニストではないだろうか。おそらく7回くらいは聴いていて、ブレンデルなかりせば、我がクラシックの中の、ピアノ体験は間違いなく寂しいものになっていたことだろう。まさに恩人である。
ブレンデル以外に複数回聴いたピアニストを挙げておく……マウリツィオ・ポリーニ、内田光子、アンドラーシュ・シフといった面々だが、個人的にはブレンデルから大きな恩を受けたと思っているのだ。
[続く]
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