SSブログ

愁話§シューベルト―マイカテゴリー― [シューベルト]

シューベルトを聴くといえば、長いこと『冬の旅』や『水車屋の娘』あたりの歌曲、それに2つ3つの交響曲といった程度でお茶を濁してきた。

schubert.jpg

遅ればせというか、この10年ほどの間に弦楽四重奏曲やピアノ・ソナタまで少しではあるがレパートリーが増えてきたように思う。ピアノ・ソナタにしても、せいぜい後期の数曲くらいのものではあるけれど。

そうして、特に最後のソナタ3曲を聴くと、31歳で夭折したシューベルトが五線譜を前にして、性急にペンを走らせる様が目に浮かぶような気がする。そして「書きあがったのだけれど、聴いてくれるかな?」と何がなし伏し目がちな物言いをするのだろうと想像してしまう。

それは、最後まで“俺様”な生涯を過ごしたベートーヴェンとはまた対極の存在であったのではないだろうか。

人生も終わり近くになって、31歳という自分の半分以下しか生きることができなかった天才の作品を耳にして、ようやく何がなしの感慨を覚えるようになったのは、シューベルトに対して申し訳ないような気がしないでもない。

才能の成熟と年齢は無関係であるのだと、シューベルトが自身の身をもって示してくれているのだ。

《クラシックのトピックス一覧》
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。