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街話§神保巷塵[75]下町と山の手 [神保町]

[承前]

神保町話が少し続く。ずいぶん長いこと“下町と山の手”を誤解していた。誤解というよりも範囲をめちゃくちゃ広く考えていたのである。

いわゆる昔ながらの下町は、日本橋、京橋、神田、下谷、浅草、本所、深川といったあたりのことで、山の手とはわかりやすく言えば、神田神保町から九段坂を上がった先のことを指すのだ。

半世紀以上前の映画で、倍賞千恵子が主演した『下町の太陽』という作品があって、この舞台は京成線の荒川周辺というものだったから、さすがに範囲を広げ過ぎた感がないでもなく、荒川あたりを下町と呼べるものか。

長いこと神保町で仕事をしていたが、よそ者にとって神保町を下町と見なす意識はほとんどないままだったが、下町生まれの人間と話す機会があって、その時に東京人の下町意識がどういうものであるのかを知ったのであった。

その時、彼らの説明によれば「谷根千を下町と呼ぶかどうかは微妙で、特に谷中は“寺町”と呼ばれている」といったニュアンスの話を聞いて、自分が勝手に判断していたこととまったく違っていたことに驚かされ、それ以降の東京地域観ががらりと変わったのだ。なるほど、人に話を聞くものである。
                               [続く]

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