乾話§冷たい手~ミミではない~ [老化]
ミミではない……プッチーニが作曲したオペラ『ラ・ボエーム』に登場する薄幸のヒロインで、彼女に向かって一目惚れした詩人が歌うアリアが『冷たい手』である。
などという話とはまったく関係ない、単なる年寄りの愚痴で、この2、3年というもの、冬の朝の寒さに勝てずで、朝方は指の出ている手袋をはめているが、それでも冷たいままなのだ。
手の甲から腕にかけて見やれば、かつては浮いていた静脈の姿はなく、血液循環も弱くなりつつあるのかどうか、とにかく手が温まることなどはない。
手についてだが、もう一つある。その昔、五十代になる前後くらいまでは、手の指も十分にしっとりしていた。スーパーマーケットで、ちょっと水気のある食品を入れるポリ袋を、何の雑作もなくサっと開けたのが、気がつけば指先から湿気が失せて開けなくなってしまった。
指は舐めたくはなかったので、しかたなく指先に息を吹きかけて何とかしたのだが、その時に“脂ぎった中年親父”なんているものかいなと思ったのである。
人間五十年……その中身はどんどん干上がり、一夜干しと化していくのだ。
《老化のトピックス一覧》
などという話とはまったく関係ない、単なる年寄りの愚痴で、この2、3年というもの、冬の朝の寒さに勝てずで、朝方は指の出ている手袋をはめているが、それでも冷たいままなのだ。
手の甲から腕にかけて見やれば、かつては浮いていた静脈の姿はなく、血液循環も弱くなりつつあるのかどうか、とにかく手が温まることなどはない。
手についてだが、もう一つある。その昔、五十代になる前後くらいまでは、手の指も十分にしっとりしていた。スーパーマーケットで、ちょっと水気のある食品を入れるポリ袋を、何の雑作もなくサっと開けたのが、気がつけば指先から湿気が失せて開けなくなってしまった。
指は舐めたくはなかったので、しかたなく指先に息を吹きかけて何とかしたのだが、その時に“脂ぎった中年親父”なんているものかいなと思ったのである。
人間五十年……その中身はどんどん干上がり、一夜干しと化していくのだ。
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