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庫話§アーカイブとしての歌舞伎は・・・・・・ [歌舞伎]

歌舞伎が生まれた江戸時代において、歌舞伎は“現代劇”なのだった。大化の改新という江戸時代から1000年前の出来事を、江戸時代の衣装で上演したのだから、さしづめ今なら、織田信長や明智光秀にスーツを着せて舞台上演するようなものだ。

だから言うまでもなく『仮名手本忠臣蔵』も『菅原伝授手習鑑』も、当時は“新作”なのだった。

だが、歌舞伎発祥から四百年の今日、もちろん『ワンピース』や『風の谷のナウシカ』といった新しい歌舞伎が上演されて話題にはなるが、演目の大半は江戸時代から明治にかけて作られたものばかりである。

つまり、現代における歌舞伎は、かつて膨大に作られた“新作歌舞伎”の中で、生き残った作品によって成り立っていると言ってもいいだろう。ただし過去の作品だけで歌舞伎を存続させることなどできようはずはない。仮にもそれでよしとしたら、その瞬間、歌舞伎は日々古典物のみを“展示”するだけの博物館と化してしまうことは間違いない。

数年前、明治維新頃の若い歌舞伎役者を主人公にした小説を読んだことがあって、その中で主人公が狂言作者に向かって事あるごとに「新作を書いてくださいよう!」とねだる件があった。今の役者がどう考えているものかわからないが、少なくとも昔の役者は新作を舞台にかけることで、常に芝居を観に来る客を挑発しようとしていたのではないか。

アーカイブとしての歌舞伎だけでなく、常に新作を見据えていかなければ、役者の側も客の側も行き詰ってしまうのは間違いないところである。

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