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断話§途切れたベートーヴェンの第九 [クラシック]

LPレコードの時代の話である。言うまでもなくレコード盤はA面とB面に分かれていて、それぞれに音楽が録音されていたのだった。

一番のお約束としては、ベートーヴェンの交響曲第5番がA面に、シューベルトの未完成交響曲がB面にというカップリングがあったりしたのである。おおよそ片面30分程度の容量だったからこういう組み合わせができたが、一曲が40分とか50分になると、それで1枚のLP盤でということになる。

問題は一曲が1時間を超えるような……ベートーヴェンの第九交響曲をどう収めるか、レコード会社としては頭の痛いこととなったはずだ。最も簡単な解決法としては、4楽章を片面に一楽章ずつ合計2枚で作ってしまうことだが、それを潔しとしない指揮者がいた……ヘルベルト・フォン・カラヤン。

カラヤンは、第九を1枚に収めようと、あろうことか3楽章の途中でぶった切って3楽章の途中からB面に入れて4楽章までを1枚に収めてしまったのだ。下の赤いラインが分かれた部分だ。

b9.jpg

最近はそうでもなくなったが、カラヤンがそうしたおかげで、この部分に差しかかると、音楽が“ブツっ”と途切れてしまうのである。このレコードを買った人たちは間違いなく“ブツっ”を抱え続けたはずである。

CDの規格を決めるにあたって、カラヤンが「第九を1枚のディスクに」と言ったというが、それは、かつてのLPのあれが念頭にあったからではないか。

そうして1年ちょっと前に書いたことだが、個人的なトラウマとして、ベートーヴェンの第5交響曲終楽章が途絶えてしまったことがあった。合わせて読んでいただければと思う。

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