SSブログ

断話§“引退”を考える [クラシック]

ピアニストで指揮者でもあるウラジミール・アシュケナージが引退をする。昨年傷めた右手が癒えてくれなかったことが理由と思われる。

宮仕えのサラリーマンであったら“定年”という区切りが存在していて、一定の年齢に達したところで御役御免となる。その後、どこか別の何かにに再就職するか、自分で起業するか、完全リタイアを選択するのだが、いずれにしても、ひとまず辞めることに変わりはない。

そこからすると、アーティストとか職人といった手に職を持って自活している人たちは、持てる能力と、持てる能力を継続する気力さえあれば、80歳や90歳を超えても生業することができるのだ。

事実、ミェチスワフ・ホルショフスキのように、百歳直前までリサイタルを行っていたピアニストも存在していて、本人がやろうという意志があって、客を呼べるのであれば可能なことなのである。

スポーツ選手もまた、少し似たところがあるけれど、これは相手があっての勝負事だから、容赦なく体力の限界を自覚させられて引退という道を選ぶことになってしまうが、演奏家の場合は自分との戦いでしかない。

物理的な理由がまず一番に来るだろうが、精神的なモチベーションが枯渇することで引退を余儀なくされることもまた少なくないだろう。

げに、アーティストという人たちが持っている卓越した自己研鑽力には頭が下がる思いである。

《クラシックのトピックス一覧》
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。